以下のような時に吐き気を感じたら要注意
吐き気の原因
吐き気の原因には様々なケースがありますが、消化管に何らかの異常を生じている可能性があります。代表的なものは、胃や腸の炎症や運動機能低下などになります。その他では、薬の副作用や強いストレスが起因するケースもあります。
食中毒・ウイルス性胃腸炎
体内に細菌・ウイルスが侵入すると、吐き気や嘔吐を引き起こすことがあります。また、感染した器官、細菌やウイルスの種類によっては、発熱・下痢などの症状を伴うこともあります。
特に、嘔吐を繰り返して体内の水分が不足すると脱水症状を引き起こす恐れがあるため、早急に医療機関を受診しましょう。医療機関では、点滴などによって脱水症状を防ぐことができます。また、体力を回復するために自己判断で無理にご飯を多く食べてしまうと症状の悪化を招く恐れもありますので、注意しましょう。
逆流性食道炎
逆流性食道炎とは、胃酸が食道へと逆流を起こすことで食道粘膜に炎症をきたす疾患です。主な原因は、加齢や飲酒、喫煙、食生活の乱れなどが考えられ、発症すると慢性的な吐き気や胸のむかつき、喉の痛みなどの症状を引き起こすようになります。また近年では、若年層の罹患が増加傾向にあります。逆流性食道炎は、胃カメラ検査で正確に診断することができます。
胃潰瘍
胃潰瘍とは、胃の粘膜が深く損傷して粘膜に潰瘍が形成されている状態の疾患です。一般的に、胃に穴が開くと表現されることもあります。特に、食事中や食後など胃が活発に動いた時に、吐き気や嘔吐のほか、腹痛や胸焼けなどの症状も伴います。また、進行すると潰瘍から出血を起こし、下血を起こすこともあります。
主な原因は、ヘリコバクターピロリ菌の感染や食べ過ぎ、飲み過ぎ、過度なストレス、痛み止めの薬剤などが挙げられます。胃潰瘍は、胃カメラ検査で正確に診断することができます。
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍とは、十二指腸の粘膜が深く損傷して粘膜に潰瘍が形成されている状態の疾患です。発症すると、吐き気や嘔吐、腹痛などの症状を引き起こします。これらの症状は、空腹時や夜間に現れやすい特徴があります。また、進行すると潰瘍から出血し、下血を起こすこともあります。その他では、過労やストレスなどが原因になることもあります。十二指腸潰瘍は、胃カメラ検査で、正確に診断することができます。
便秘・腸閉塞
腸は、蠕動運動によって消化物を送り出すはたらきがあります。このはたらきを阻害する疾患が便秘や腸閉塞です。これら疾患を起こすと腸内の上部に消化物が滞るようになり、腸内に便・ガスが充満して吐き気や嘔吐、腹痛などの症状を引き起こします。
主な原因は、腹部手術による癒着やヘルニア、腸管機能の麻痺などが考えられます。一時的に排便があっても便が滞留し、再度嘔気を引き起こすことが多いため、注意が必要です。
機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアとは、胃カメラ検査を行なっても特に異常が見つからないにもかかわらず、慢性的な吐き気や胃もたれ、早期満腹感、みぞおちの痛みなどの症状が生じる疾患です。主な原因は、生活習慣乱れや食習慣の乱れ、ストレス、胃・十二指腸の知覚過敏、運動機能の阻害など、様々な原因が複合的に絡み合うことで発症すると考えられています。
機能性ディスペプシアは、投薬や生活習慣の改善、食習慣の改善などによって治療が可能です。
吐き気の検査
吐き気の検査では、吐き気の程度や頻度、タイミング、他の症状を伴っていないか、既往歴、現在使用しているお薬などをお伺いします。その後、血液検査や腹部エコー検査、胃カメラ検査などを行います。
吐き気の治療
吐き気の原因が薬の副作用の場合には、薬の量を減らしたり使用を中止する必要があります。また、原因疾患が特定できている場合は、それぞれの疾患に対して適切な治療を行います。
吐き気の予防
少しでも吐き気を感じる場合は、無理に食事を取ろうとすると吐き気を助長しますので注意しましょう。食事は、体調の改善に伴って麺類などのやわらかいものを徐々に口にするようにしましょう。食後に横になる場合は、頭を高くして身体の右側を下にすると、消化が促されて吐き気の症状を抑えることができます。また、口腔内が乾燥していると吐き気を助長しますので、こまめに水分を摂取したり口をゆすぐようにしましょう。
