食後の胃痛

食後に胃が痛くなる方へ

人間の体は食べたものでできています。しかし、食後に胃痛や胃もたれや胃のむかつき、げっぷ、腹痛などの症状があると、安心して食事をすることも難しくなります。では、食後に胃痛を生じるのはなぜなのでしょうか。
食後に生じる胃痛は、食事の内容や食事の仕方が大きく関与しています。胃は、入ってきた食べ物を消化して、腸に送り出すという重要なはたらきがあります。正常な状態では、食べ物は胃の中で2~3時間かけてドロドロの粥状になるまで消化され、十二指腸へと送り出されます。しかし、揚げ物やケーキなど脂分の多いものを多く食べると、消化するまで4~5時間を要することもあります。食べ過ぎて苦しい、胃もたれするといった症状の多くは、このように食べ物が胃で消化される時間が長いために起こります。また、完全に消化されない状態のまま食べ物が腸に送り出されると、十二指腸では処理できずに胃に送り返され、再び食べ物が胃に蓄積されて、胃もたれを引き起こります。

このような状態は、急性胃炎による可能性があります。急性胃炎は、主に以下のような状態で引き起こされます。

  • 暴飲暴食をした
  • 過度に飲酒をした
  • 高脂肪の食事をした
  • 香辛料や熱いものなどの刺激物を食べた
  • コーヒーを飲み過ぎた
  • 深夜に食事をした

など


胃痛の際にお勧めの食事

胃痛を回避するには、胃に負担をかける脂分の多い食事を避け、消化の良いものを食べることが大切です。
消化にかかる時間は食べ物の種類や量によって異なります。胃の中の滞留時間が最も短いものは、脂肪分の少ないタンパク質です。したがって肉はロースより脂肪分が少ないヒレを選び、魚はトロより赤身や白身を選ぶようにすると、胃の負担を軽減できます。一方、ステーキや天ぷらなど脂肪分の多いものは消化に時間がかかり、胃の滞在時間も長くなるため、胃もたれや吐き気などを起こしやすくなります。
また、食材の脂分を落とすことでも胃の負担は軽減されるため、調理法も工夫が必要です。揚げもの料理はできるだけ避けて、煮る、焼く、ゆでるようにすると、消化の助けになります。また、カフェインを多く含むコーヒーやアルコール、香辛料も胃を刺激するため、なるべく控えましょう。その他、就寝直前の食事も胃に負担がかかるため、少なくとも就寝の3時間前までには食事を済ませるようにしましょう。


食後の激しい胃痛はアニサキス…?

アニサキスとは寄生虫の一種で、サンマやイワシ、サバ、サケ、カツオ、イカなどの生魚に寄生しています。アニサキスが寄生した生魚を食べると、数時間~数十時間後にみぞおちの激しい痛みや吐き気、嘔吐などの症状を引き起こします。
主な治療は胃カメラ検査によるアニサキスの摘出になりますが、数日後に蕁麻疹やかゆみなどのアレルギー症状を生じることがあります。また、稀にアニサキスが小腸や大腸の粘膜に侵入して腸閉塞を引き起こすケースもあり、その際には開腹手術が必要となることもあります。


食後の胃痛は病気が原因のこともある?

慢性胃炎(ピロリ菌胃炎)

慢性胃炎とは、胃の粘膜の炎症が長期間にわたり繰り返し起こる状態の疾患です。主な症状は、胃の不快感や胃もたれ、食後の腹痛、食欲不振や吐き気などが挙げられます。原因の多くはピロリ菌の感染のため、治療ではピロリ菌除菌を行うことで症状が改善するケースが多く見られます。ピロリ菌は胃潰瘍や十二指腸潰瘍、ポリープ、胃がんなど多くの疾患の発症にも関与しているため、除菌治療を行うことは重要です。

胃炎

機能性ディスペプシア

機能性ディスペプシアとは、検査では胃の障害が見つからないにもかかわらず、胃もたれや胃痛など胃の不調を発症する疾患です。以前は気のせいと捉えられていましたが、近年では胃の疾患の1つとして診断され、健康保険による治療も可能です。主な原因としては、胃のふくらみが悪いことで胃酸が過剰に反応して痛みを発症すると考えられています。ストレスが起因しているとも考えられており、日頃からストレス解消を心がけることが大切です。

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、胃酸が食道へ逆流を起こすことで食道に炎症が起こる疾患です。主な症状は、胸焼けや胸の痛み、喉や口まで酸っぱいものがこみあげてくる呑酸、喉が焼けるように感じるなどが挙げられます。また、咳や不眠など様々な症状を引き起こすこともあります。
以前は日本人には稀な疾患でしたが、昨今の食事の欧米化などの要因により、近年では患者数は増加傾向にあります。特に、中高年の肥満気味な男性に多く見られる一方で、若くストレスを感じやすい女性には、食道にびらんや潰瘍が認められない非びらん性胃食道逆流症が多く見られます。このような状態は、逆流性食道炎とあわせて胃食道逆流症と呼ばれます。

逆流性食道炎

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍は、胃酸によって胃の粘膜がただれて深く損傷する疾患です。主な症状は腹痛や吐き気などで、重症化すると潰瘍から出血を起こしたり、胃に穿孔を起こしたりすることもあります。40~60代に多く見られる傾向があり、治療は薬物療法が基本となりますが、重症の場合は外科手術が必要になることもあります。
一方、十二指腸潰瘍は胃酸によって粘膜が耐えられなくなり、十二指腸の粘膜がただれたり削れたりする疾患です。主な原因は、ストレスや食生活の乱れ、喫煙、ピロリ菌などが考えられています。20~40代の男性に多く見られる傾向があり、主な治療は胃潰瘍と同じくピロリ菌除菌と薬物治療が中心となります。
なお、胃潰瘍は食後に、十二指腸潰瘍は空腹時や早朝に痛みが起きることが多い特徴があります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

過敏性腸症候群

過敏性腸症候群とは、腸そのものには異常が見られないにもかかわらず、腹痛や下痢、便秘などを繰り返す疾患です。検査をしても異常が見つからないため、以前は気のせいと捉えられていましたが、近年では過敏性腸症候群という疾患として診断されます。主な原因は、腸内環境の悪化やストレス、小腸内で分解・吸収されにくい糖類の影響などが考えられています。20~40代に多く見られる傾向があり、男性は下痢、女性は便秘になりやすい特徴があります。不安や緊張などによる過度なストレスによって自律神経系が乱れ、腸の運動や消化液の分泌が過剰になることで下痢や便秘を引き起こすと考えられているため、日頃からのストレスケアが大切になります。

過敏性腸症候群

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